【医師解説】ママの頭痛、我慢してない?ホルモン・肩こり・睡眠不足が引き起こす“ママ特有の頭痛”とタイプ別対処法
医療上の注意:本記事は一般的な医療情報の提供を目的としています。症状が強い/長引く/ふだんと違うと感じる場合は、自己判断を避け医療機関を受診してください。緊急性が疑われる場合は救急受診を。
「寝不足でもないのに朝からズキズキ」「肩や首がガチガチで重だるい」「鎮痛薬が効きにくくなってきた」——。それ、“ママ特有の頭痛”かもしれません。妊娠・出産・授乳・育児の時期はホルモン変動が大きく、姿勢や睡眠も乱れがち。頭痛が起きやすい条件が重なります。
(参考:MacGregor 2018/日本頭痛学会ガイドライン2021)
ママの頭痛によくある5つの原因

- ホルモンバランスの変動:エストロゲン低下は脳血管の拡張に関与し、片頭痛を誘発・増悪しやすくなります。
- 肩こり・姿勢不良:抱っこ・授乳・スマホ姿勢で筋緊張が続き、締めつけるような緊張型頭痛の原因に。
- 睡眠不足・質の低下:痛み抑制系が働きにくくなり、痛み閾値が下がります。
- 天気・気圧の変化(気象病):内耳の圧受容や自律神経の変化が関与し、片頭痛/緊張型が悪化。
- 鎮痛薬の使いすぎ(MOH):週2回以上の常用は薬剤誘発性頭痛のリスク。
(参考:Olesen 2018/宮本 2020)
タイプ別:頭痛を軽減しやすい対処法

同じ“頭痛”でも、タイプにより有効な対処が逆になることがあります。見極めてケアしましょう。
① 片頭痛タイプ(ズキズキ・光や音に敏感)
- 特徴:片側性のズキズキ/光・音・においに過敏/吐き気・動くと悪化。
- おすすめケア:
- 暗く静かな環境で休む(光・音刺激を避ける)
- 少量のカフェイン(コーヒー・緑茶)を頓用で併用可
- 冷却(こめかみ・後頭部)で血管拡張を抑制
- 予兆(前駆)が分かる人は早めの薬(トリプタン等)を検討
- 避けること:熱い入浴/サウナ、強い光・大音量、食事抜き
- 参考:日本頭痛学会GL2021/Sakai & Igarashi 1997
② 緊張型頭痛タイプ(重だるい・肩や首がこる)
- 特徴:後頭部~側頭部の締めつけ感。長時間同一姿勢で悪化。
- おすすめケア:
- 温め(蒸しタオル・入浴)で筋血流を改善
- 1時間に1回の肩・頸部ストレッチ/呼吸法・軽運動
- 姿勢最適化(スマホは目線の高さ・授乳クッション活用)
- 就寝前の睡眠衛生(ブルーライト回避・就寝前ルーティン)
- 避けること:強い冷却、長時間スマホ、過度な指圧や自己流強揉み
- 参考:Fumal & Schoenen 2008
uFit楽天市場店
¥16,800 (2025/11/05 16:56時点 | 楽天市場調べ)
③ 気象・自律神経型(雨や台風前に悪化)
- 特徴:低気圧接近前から頭痛・肩こり・倦怠感。片頭痛・緊張型の混在あり。
- おすすめケア:
- 朝の深呼吸+朝日を浴びる(体内時計リセット)
- こまめな水分補給、軽い有酸素運動
- 耳周囲のやさしいマッサージ(内耳刺激で自律神経安定を促す)
- 低気圧アプリで事前準備(予定の前倒し・環境調整)
- 避けること:睡眠リズムの乱れ、カフェイン過多、運動不足
- 参考:宮本 2020/Wöber-Bingöl 2013
チチロバ(TITIROBA)楽天市場店
¥4,980 (2025/10/31 14:16時点 | 楽天市場調べ)
鎮痛薬の使いすぎ(MOH)に注意
市販薬・処方薬を週2回以上の頻度で常用すると、かえって頭痛を慢性化させる薬剤誘発性頭痛のリスクがあります。
漫然と継続せず、頻度が増えてきたら医療機関での調整を。
(参考:Olesen 2018/NICE CG150)
受診の目安(赤旗サイン)
- 突然の激しい痛み(雷鳴頭痛)
- 吐き気・視覚異常・手足のしびれ・ろれつ困難などの神経症状を伴う
- 日を追って悪化、または痛みの性質が変化してきた
- 鎮痛薬が効かない、あるいは週2回以上必要
これらに該当する場合は、我慢せず神経内科・脳神経外科を受診してください。緊急性が疑われるときは救急要請を。
参考:NICE Clinical Guideline CG150(2012)
医師からのメッセージ
「ママだから我慢」はもうやめましょう。頭痛は体からの小さなSOS。
肩を回す、5分だけ目を閉じる、就寝前のスマホをやめる——その小さな一歩が、痛みを遠ざけます。
関連記事(まとめてチェック)
参考文献(エビデンス)
- 日本頭痛学会. 頭痛の診療ガイドライン2021.
- MacGregor EA. Headache in pregnancy and lactation. J Headache Pain. 2018;19(1):106.
- Olesen J, et al. Medication-overuse headache. BMJ. 2018;361:k2230.
- Fumal A, Schoenen J. Tension-type headache: current research and clinical management. Lancet Neurol. 2008;7(1):70–83.
- Sakai F, Igarashi H. Prevalence and characteristics of migraine in Japan: a nationwide survey. Cephalalgia. 1997;17(1):15–22.
- NICE Clinical Guideline CG150. Headaches in over 12s: diagnosis and management. 2012.
- 宮本雅之ほか. 気象と頭痛の関連について. 日医大医会誌. 2020;16(2):85–92.
- Wöber-Bingöl Ç. Epidemiology of migraine and tension-type headache in children and adolescents: a systematic review. Cephalalgia. 2013;33(7):603–615.
執筆・監修:子育てドクター(医師)/カテゴリ:ママの健康・頭痛ケア




コメント