【医師解説】子どもの「目のチック」やまばたきが多いとき|原因と受診目安・してはいけない声かけ
医療上の注意:本記事は一般的な医学情報です。症状が長引く・悪化している・気になる行動の変化を伴う場合は、
小児科・小児神経科・精神科・眼科などの医療機関でご相談ください。自己判断での放置や自己治療は避けましょう。
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「最近、子どものまばたきがやたら多い…」「目をギュッとつぶる動きを何度もする」
そんな様子を見ると、「目の病気?ストレス?発達の問題?」と、いろいろな不安がよぎりますよね。
結論から言うと、子どもの『目のチック』は、成長の途中でよく見られる一時的な症状であることが多いです。
一方で、眼科の病気や発達特性が隠れている場合もあるため、
「どこまで様子を見てよくて、どんなときに受診すべきか」が分かりにくいテーマでもあります。
この記事では、子どもの目のチックの原因・受診の目安・家庭での関わり方を、
小児診療に携わる医師の視点でやさしく整理してお伝えします。
子どもの「目のチック」ってなに?
いわゆる「目のチック」とは、次のような無意識に出てしまう動きを指します。
- まばたきを何度も速く繰り返す
- ギュッと目をつぶるしぐさを何度もする
- 目をぎょろっと動かす・見開く
医学的には「チック症」の一つとして扱われます。チック症の多くは、
数か月〜1年ほどで自然に目立たなくなる一時的なものです。
ただし、特に「目」の動きが目立つ場合には、
本当にチック症が原因なのか、それとも目そのものの病気が隠れていないかを見極める必要があります。
本当にチック?それとも眼科の病気?見分けるポイント
まずチェックしたいのは、目そのものに原因がないかという点です。
眼科受診を考えたいサイン
- 「かゆい」「ゴロゴロする」「しみる」など、目の違和感をよく訴える
- 目が赤い・充血している、目やにが増えている
- まぶしがる、片目を細める・つぶるしぐさが多い
- テレビやタブレットを見る距離がどんどん近くなっている
- 黒板の字が見えにくい・目を細めて見るようになった
こうした場合は、アレルギー性結膜炎・ドライアイ・屈折異常(近視・乱視など)といった、
目の病気や視力の問題が隠れていることがあります。
一方で、
- 特に痛みやかゆみを訴えない
- 目の赤み・目やには目立たない
- 視力低下や「見えにくさ」を訴えていない
といった場合は、チック症としての「目の動き」である可能性が高くなります。
迷うときは、眼科で視力や目の表面の状態をチェックしてもらうと安心です。
ストレス・性格・発達との関係
チック症は、まだ分かっていない部分も多いものの、次のような要因が重なって出てくると考えられています。
- 脳の発達の過程で起こる一時的なアンバランス
- 生まれ持った性質(繊細・真面目・こだわりが強い など)
- 環境からのストレス(学校・友だち・家庭の変化など)
よくあるきっかけとしては、入園・入学・クラス替え・習い事の開始などの環境の変化や、
きょうだいが増えた・引っ越しをした、といった家庭の変化のあとにチックが目立つことが多いです。
発達特性(ADHD・自閉スペクトラム症など)とチック
また、ADHDや自閉スペクトラム症などの発達特性があるお子さんでは、チック症が一緒に見られることもあります。
- 「やめたくても、やめられない」動きやこだわりが強い
- 集中しているときに体がムズムズして動いてしまう
- 集団生活での困りごとが多い(指示が通りにくい・順番を待つのが苦手など)
もちろん、チックがあるからといって必ず発達障害があるわけではありません。
ただ、
- 昔から「落ち着きがない」と言われることが多い
- 学校の準備や宿題、時間の管理が極端に苦手
- 友だち関係や集団活動で悩みが多い
といった特徴が重なる場合は、一度専門医に相談するきっかけとして考えてよいでしょう。
「様子見でいいチック」と「受診したほうがいいチック」
様子を見てよいことが多いケース
次のような場合は、すぐにあわてて受診する必要はなく、数週間〜数か月の経過観察でよいことが多いです。
- 目のチック以外に、明らかな症状(痛み・かゆみ・視力低下など)がない
- 学校生活や遊び・学習に大きな支障は出ていない
- チックが出ていない時間もあり、寝ている間はほとんど見られない
- 環境の変化やストレスが重なった時期と一致している
受診を考えたいサイン
一方、次のような場合は、小児科や小児神経科・精神科・眼科で相談することをおすすめします。
- 目のチックが急に増え、日常生活や学習に支障が出ている
- 顔や肩・体全体の大きな動きや、咳払い・奇声などの「音のチック」も目立つ
- 目の痛み・かゆみ・強いまぶしさ・視力低下などをよく訴える
- 成績の急な低下・不登校・極端な情緒不安定が同時に出てきた
- 保護者が「いつもの様子と明らかに違う」「直感的におかしい」と感じる
「どの科に行けばいいか分からない」ときは、まずはかかりつけ小児科で相談し、
状況に応じて専門医を紹介してもらう流れで大丈夫です。
家庭でできる対応|やってはいけない声かけ・してほしい声かけ
やってはいけない関わり方
チック症で一番避けたいのは、次のような「チックそのものに注目を集める」関わり方です。
- 「やめなさい」「またやってるよ」と何度も注意する
- 「そんなことしてたら変に思われるよ」と不安をあおる
- 動画に撮って家族で話題にしたり、からかったりする
子ども自身も、「やりたくてやっているわけではない」ことがほとんどです。
指摘されることで
- 「見張られている」感覚が強くなる
- 緊張やストレスが高まり、かえってチックが増える
という悪循環に陥りやすくなります。
してほしい関わり方
代わりに、次のようなポイントを意識してみてください。
- チックそのものは、あえてスルーする
気づいても、あまり反応・指摘しない。 - 別の行動に意識をそらす
一緒に体を動かす遊びをする・外に出る・会話のテーマを変える など。 - 「最近どう?」と気持ちを聞く
行動ではなく、「不安」「疲れ」「頑張り」に寄り添う声かけを増やす。 - 睡眠・生活リズムを整える
寝不足や疲れはチックを目立たせやすいため、就寝・起床時間をできるだけ一定に。 - 画面時間を見直す
寝る前1〜2時間の画面オフを意識する。
親御さん自身が「今すぐ止めさせなきゃ」と思い込むと、どうしても過敏に反応してしまいます。
「成長の途中でよくある症状で、多くは自然に軽くなる」という前提を知っておくことが、
余裕を持って見守る大きな助けになります。
まとめ:不安をひとりで抱え込まないで
子どもの「目のチック」は、それだけでとても気になる症状ですが、
多くは成長の途中でよく見られる一時的なものです。
- 目のチックそのものは、あえて過度に指摘せず見守ることが大切
- 目の痛み・かゆみ・視力低下などがあれば、眼科受診も検討
- 日常生活への支障や、行動・気分の変化が大きい場合は、小児科や専門医に相談を
- 睡眠や生活リズムを整えるだけで、軽くなるケースも少なくない
「これくらいで受診していいのかな…」と遠慮せず、
不安な気持ちごと、医療者に預けてもらえたらと思います。
このページは、気になるときにいつでも見返せるように保存しておいてくださいね。
参考文献
- 日本小児神経学会:チック症・トゥレット症関連資料.
- American Academy of Child and Adolescent Psychiatry. Practice parameter for the assessment and treatment of children and adolescents with tic disorders.
- Leckman JF, et al. Tic disorders. Lancet Neurol.
- 日本発達障害連盟:発達障害と二次障害に関するガイドライン.
※実際の診療方針・治療の適応は、お子さんの状態や地域・施設によって異なります。詳細は受診先の医師とご相談ください。
個別の症状については、必ず医療機関で相談してください。




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