【医師解説】子どもの頭痛=脳腫瘍?|心配しなくていいケースと注意すべき症状
医療上の注意:本記事は一般的な医学情報です。頭痛が長引く・悪化している・気になる症状を伴う場合は、
小児科・小児神経科・脳神経外科などの医療機関でご相談ください。自己判断での放置や自己治療は避けましょう。
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「子どもが頭が痛いって言う…もしかして脳腫瘍?」
一度は頭をよぎったことがある方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、子どもの頭痛のほとんどは脳腫瘍ではありません。
一方で、ごくまれに脳腫瘍など重大な病気が隠れていることもあり、
「どこまで様子を見てよくて、どんな症状があれば受診すべきか」が分かりにくいところです。
この記事では、子どもの頭痛でよくある原因・脳腫瘍の頻度・注意すべきサイン・受診の目安を、
小児診療に携わる医師の視点でやさしく整理してお伝えします。
「頭痛=脳腫瘍?」と不安になるのは自然なこと
最近はインターネットで何でも調べられる時代。
「子ども 頭痛」で検索すると、すぐに脳腫瘍・水頭症・くも膜下出血といった、重い病名が出てきます。
その結果、本来は肩こり・疲れ・片頭痛・風邪などで起きている頭痛でも、
「もしかして命に関わる病気では?」と、とても心配になってしまいやすい状況です。
まず押さえておきたいのは、
「子どもの頭痛=脳腫瘍」ではないということ。
むしろ、脳腫瘍が原因の頭痛は、全体から見るとごくごく一部にすぎません。
子どもの頭痛の多くは「良性の頭痛」
小児の頭痛で多い原因を、ざっくり分けると、次のようになります。
- 緊張型頭痛:姿勢・筋肉のこり・ストレスなどで起こる締め付けるような頭痛
- 片頭痛:ズキズキ脈打つような痛み。光や音に弱く、吐き気を伴うことも
- 風邪や副鼻腔炎などの感染症:発熱・鼻水・咳と一緒に起こる頭痛
- 睡眠不足・水分不足・眼精疲労:生活リズムや環境が影響する頭痛
特に最近は、スマホ・タブレット・ゲーム・オンライン授業などで、
目と肩・首に負担がかかりやすく、「緊張型頭痛」や「小児片頭痛」が増えている印象があります。
こうした頭痛は、睡眠や
光環境・画面時間を整えたり、
生活リズムを見直していくことで、少しずつ軽くなっていくことが多いです。
脳腫瘍は「とてもまれ」だけれど、ゼロではない
では、脳腫瘍はどれくらいの頻度で起こるのでしょうか。
小児の脳腫瘍は、国や調査により多少の幅はありますが、
おおよそ「子ども10万人あたり年間3〜5人程度」とされています。
日常診療で出会う頭痛全体から見ると、「かなり稀」と言える数字です。
ただし、「すごく珍しいから絶対に心配いらない」ではありません。
大切なのは、脳腫瘍が疑われる「赤信号サイン」を知っておき、当てはまる場合には早めに受診することです。
脳腫瘍を疑う「赤信号サイン」
次のような症状がいくつか当てはまる場合は、脳腫瘍などを含めた精査を考えるサインです。
- 朝方に強い頭痛が出る(夜〜明け方に悪化しやすい)
- 頭痛と一緒によく吐く(胃腸炎のような下痢はないのに、突然吐く)
- 頭痛が日ごと・週ごとに悪化していく(だんだん頻度・強さが増す)
- ふらつく・まっすぐ歩けない・転びやすくなった
- 片側の手足に力が入りにくい、しびれが続く
- 見え方の変化(視力低下、ものが二重に見える 等)がある
- 性格や行動が急に変わった(ぼーっとしている時間が増えた・成績が急にガクンと落ちた 等)
- 乳幼児では、機嫌不良・食欲低下・嘔吐が続く、頭囲の急激な増大など
これらはあくまで一般的な目安であり、ひとつでも当てはまったら必ず脳腫瘍という意味ではありません。
しかし、「いつもの頭痛とは違う」「親から見て明らかに様子がおかしい」と感じる場合は、
早めに小児科や専門医に相談して良いサインです。
「脳腫瘍らしくない」頭痛の特徴
逆に、次のような頭痛は脳腫瘍とは考えにくいタイプです。
- 学校や習い事で疲れた日・天気が悪い日にだけ出る頭痛
- 「ズキズキする」「ドクドクする」と表現し、光や音で悪化する頭痛(片頭痛のことが多い)
- 肩こり・首のこりとセットになった、締め付けられるような頭痛
- 寝るとよくなり、翌朝は元気に登校できる頭痛
- 吐き気や手足の麻痺・ふらつき・視力の変化などを伴わない頭痛
こうした場合は、生活習慣・環境・ストレス・片頭痛体質などが関わっていることが多く、
脳腫瘍である可能性はかなり低いと考えられます。
受診の目安:どこまで様子を見ていい?
受診のタイミングに迷うことも多いと思います。ひとつの目安として、次のように考えてみてください。
🟡 小児科で相談してよいケース
- 月に数回程度の頭痛で、生活自体は普通に送れている
- 疲れた日・天気の悪い日など、きっかけがはっきりしている
- 寝ると治り、頭痛のない日も多い
- 吐き気・麻痺・ふらつき・視力異常などはない
🔴 早めの受診(脳神経外科・小児神経科も検討)
- 朝方の強い頭痛が続き、嘔吐を繰り返す
- 頭痛が日を追うごとに悪化・頻度増加している
- 手足の力が入りにくい・ふらつく・言葉が出にくいなどの神経症状を伴う
- 視力低下や「二重に見える」などの見え方の異常を伴う
- 頭痛が2〜3週間以上続き、生活に支障が出ている
- 保護者が「いつもの頭痛とは違う」「直感的におかしい」と感じる
迷うときは、「こんな症状が心配で…」と受診の時に率直に伝えて大丈夫です。
診察時に医師にどう伝えるとスムーズか
をあらかじめイメージしておくと、頭痛の性質や経過を伝えやすくなります。
CT・MRI検査はすぐ必要?
「脳腫瘍が心配だから、すぐCTやMRIを撮ってほしい」と感じるのは、とても自然なことです。
ただ、検査にはメリット・デメリットの両方があります。
- CT:短時間で撮影でき、急性の出血や大きな腫瘍は分かりやすいが、被曝がある
- MRI:被曝はないが、時間がかかり、小児では鎮静が必要になることもある
そのため、医師は症状・診察所見・経過を総合して、
「今すぐ検査が必要か」「経過観察でよいか」を判断します。
保護者としては、
「検査をした方がいいかどうか」を医師に率直に質問してOKです。
そのうえで、必要性・タイミング・方法について説明を受け、納得して進めていくのが理想です。
家庭でできる頭痛ケアと観察ポイント
脳腫瘍が疑われるようなサインが乏しい場合は、次のような対処が役立つことが多いです。
- 睡眠リズムを整える:寝る時間・起きる時間をできるだけ一定に
- 水分・食事:脱水や空腹で頭痛が悪化しやすいので、こまめな水分と朝食を
- 画面時間の見直し:寝る前1時間の画面オフを意識
- 軽いストレッチ:肩・首・背中の緊張をほぐす
- 痛みの記録:いつ・どこが・どんなふうに痛いか、簡単にメモしておくと診察時に役立つ
頭痛が強い場合、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬が使われることもありますが、
自己判断での頻回使用は避け、あくまで一時的なサポートとして考えましょう。
まとめ:不安をひとりで抱え込まないで
子どもの「頭が痛い」は、それだけでとても心配になりますよね。
でも、多くの頭痛は良性で、脳腫瘍はごくまれです。
- 頭痛のほとんどは緊張型頭痛・片頭痛・風邪などが原因
- 朝の強い頭痛+嘔吐・悪化傾向・神経症状は要注意サイン
- 迷ったら、早めに小児科や専門医に相談してOK
「これくらいで受診していいのかな…」と遠慮せず、
不安な気持ちごと、医療者に預けてもらえたらと思います。
このページは、気になるときにいつでも見返せるように保存しておいてくださいね。
参考文献
- 日本小児神経学会:小児頭痛診療ガイドライン.
- American Academy of Neurology. Practice parameter: Evaluation of children with recurrent headaches.
- 日本脳神経外科学会/日本小児がん学会:小児脳腫瘍の疫学と診療指針.
- WHO. Headache disorders: Fact sheet.
※実際の診療方針・検査の適応は、お子さんの状態や地域・施設によって異なります。詳細は受診先の医師とご相談ください。
個別の症状については、必ず医療機関で相談してください。




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