大人のADHD|サインの見極めと“明日から回る”対処法
「努力が足りないわけじゃないのに、うまく回らない」。そんな感覚が続くとき、背景にADHDの特性が隠れていることがあります。
ここでは、教科書的な用語ではなく日常の出来事でサインを見つけ、今日から回る仕組みを一緒に作っていきます。
まず基礎をつかみたい人は ADHDかもしれない?(見分け方と対処)、
お子さんの支援は 子どものADHD:学校・家庭でできるサポート をどうぞ。
1. サインの見極め(場面別の“あるある”)
仕事で起きていること
企画は浮かぶのに着手が遅れて、気づけば締め切りの前日。会議中はアイデアが次々と出てくるけれど、
話が飛びやすくて議事の要点が残らない。
もし心当たりがあるなら、それは「能力がない」ではなく注意の配分の癖かもしれません。
- 締切の直前にしかエンジンがかからない
- ToDoアプリを乗り換えるほど整えても、長続きしない
- 会議で割り込みがち/議事の要点を落としやすい
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家庭・お金の場面で起きていること
片付けを始めたのに別のことが気になって気づけば夜。ネットのワンクリックでつい衝動買い――。
自分を責める前に、仕組みで行動を守る視点を持ちましょう。
- サブスクの解約を後回しにしてしまう
- 収納を整えても数日で元通り
- 「今だけ」の文言に弱く、後で後悔する買い物がある
2. “明日から回る”3週間パッケージ
行動は一気に変えない方が続きます。3週間だけ、次の5つを一緒に試しましょう。大切なのは「できた回数を増やすこと」。
- 15分だけ着手。砂時計でもスマホでもOK、座って手を動かすまでを目標に。
- 今日の3タスクを紙に手書き→終わったら紙ごと破って達成感を可視化。
- 通知は2回(前日18時/当日1時間前)。未来の自分を助けるアラームです。
- 視覚ノイズを減らす。デスクに置くのは「今使うものだけ」。
- 買い物は48時間保留。ウィッシュリストに入れて、2日後の自分が決める。
3. 職場への伝え方(そのまま使える短い言い回し)
上司へ:中間締切と指示の“見える化”をお願いする
「集中の波が大きい特性があり、指示は口頭+短い文章でいただけると確実です。
中間の確認日を入れていただければ品質を安定させられます。席は出入口から離れた場所だと助かります。」
同僚へ:会議で割り込みがちになる時
「浮かんだことをすぐ言ってしまう癖があるので、合図(手を上げる)で順番を取りたいです。必要ならメモで渡します。」
4. 家計と衝動性――「仕組み」で自分を助ける
衝動を“根性で止める”のは難敵です。だからこそ、先に財布のレールを敷くのがコツ。
口座は「固定費」「変動費」「貯蓄」の3つに分け、変動費は月初にチャージした分で暮らす。
クレジットカードは1枚に絞り、明細は自動で「月末」フォルダへ。
買い物は必ずウィッシュリストに入れて48時間寝かせる――これだけでも失敗は目に見えて減ります。
5. 受診の目安
次のどれかに当てはまるなら、専門科(精神科・心療内科)に相談を。
①半年以上、複数の場面で支障が続く/②不眠・不安・落ち込みが強い/③金銭・仕事・対人で実害が出ている。
初診で何を話せばいいか迷うときは、基盤記事の受診ワークをコピペして持参すれば十分です。
6. 関連記事・内部リンク
7. おすすめ本・ツール(本文内に登場したもの)
8. 参考文献
- NICE Guideline NG87(成人含む包括ガイド)。
- AAP 2019 CPG(小児~思春期)。成人移行期の示唆あり。
- CADDRA 4.1(成人実務の具体)。
- MSD Manual(DSM-5-TR要点)。
- 『ADHD診断・治療ガイドライン 第5版』(じほう, 2022)。




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